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『肝臓のお話』
☆☆前書きにかえて☆☆
皆さんの知人の中にも、肝臓の悪い方の1人や2人は居ると思います。また、知らず知らずの間に肝臓病が進んでしまったという話も珍しくはないでしょう。肝臓はどうして悪くなるのか、またどうして悪くなるまで気が付かないのか、についてお話ししますね。
☆☆肝臓とは☆☆
お腹の右上の方にある、約1200gの臓器です。焼き鳥のレバーを、漬け物石くらいの大きさにした物と思って下さい。
☆☆肝臓の働きとは☆☆
大きく分けて5つあります。
@栄養;食へ物から吸収したブドウ糖、たんぱく質、脂肪などを、体が必要な分だけ
血中に流します。
A消化;胆汁という消化液を作り、脂肪の吸収を助けます。
B免疫;肝臓のKupffer細胞は、体の中に入った異物を食べてくれます。
C解毒;アンモニアなどの有害物質を分解して、体の外に出します。
D凝固;血が固まるのに必要な成分(凝固因子)を作るのにも、関与しています。
☆☆肝臓病とは☆☆
日本で問題となる肝臓病は、大きく分けて3つあり、@肝炎(急性肝炎・慢性肝炎)、A肝硬変、B肝腫瘍(癌)です。これは、肝臓病の進み具合を表しているとも言え、肝炎の人は肝硬変に進みやすく、肝硬変の人は肝腫瘍ができやすくなります。言い換えると、急性肝炎は肝炎にかかって間もない状態、慢性肝炎は肝炎が徐々に肝臓の働きを下げている状態、肝硬変は肝臓の働きがすでに下がってしまった状態で、悪い物ができやすい状態ともいえます。
急性肝炎の原因はA型・B型・C型・D型・E型肝炎ウィルス、EBウィルス、サイトメガロウィルス、ヘルペスウィルス、風疹ウィルス、麻疹ウィルス、アデノウィルス、エンテロウィルス、などがありますが、急性肝炎のうち、A型肝炎が約20%、B型肝炎が約30%、C型肝炎が約50%で、この3つがほとんどを占め、その他はまれです。
急性A型肝炎は、カキなどの魚介類を食べて移ることが有名ですが、口から体に入り、ほとんどが一時的なもので治ります。急性B型肝炎・急性C型肝炎は血液を介して感染するため、手術を受けて輸血をした人、針の消毒の不十分な針治療を受けた人、刺青をした人、注射による薬物乱用をした人、親や配偶者にB型・C型肝炎の人がいるという人に移りやすく、急性B型肝炎にかかった人の10%・急性C型肝炎にかかった人の80%が慢性肝炎となり、慢性肝炎の人の10%が肝硬変となります。
結果として、慢性化して肝硬変にまでなってしまった人のうち、一番多い原因はC型肝炎ウィルスで約50%、次いでB型肝炎ウィルスの約20%です。その次に、肝炎ウィルスとは関係ないが大酒飲みの為徐々に肝臓を悪くしてしまったアルコール性肝硬変の約10%と続き、その他はいろいろです。
特に肝硬変の人は、約10人のうち1人に将来肝腫瘍ができるため、定期検査が欠かせません。
☆☆肝臓病の症状は☆☆
急性肝炎; 倦怠感(だるい)、食欲不振、発熱、嘔吐と、かぜが長引いている状態に似ています。ひどい場合には黄疸(体が黄色くなる)が出ることもあります。
慢性肝炎; この時点ではほとんど症状がなく、知らない間に肝炎が進んでいることが多いです。
肝硬変; 手掌紅班(手のひらが赤くなる)、クモ状血管腫(体に赤い斑点ができる)、痔が悪化したり、男性の場合は女性化乳房(おっぱいが大きくなる)が出たりします。ひどい場合には、足がむくんだり、お腹に腹水(みずぶくれ)がたまったり、体にあざが出来やすくなったり、意識を失ったり、血を吐くこともあります。
肝腫瘍;腫瘍が小さいときには症状はあまり無いのですが、大きくなると肝硬変の症状は悪化します。腫瘍が肝臓の外側に出っ張るようになると、痛みを起こす場合があります。
☆☆肝臓の検査とは☆☆
採血と腹部超音波検査・腹部CT検査が中心となります。
採血では、GOT・GPT・総ビリルビン(肝細胞が壊されたり、肝臓の働きが悪くなると上がる)、アルブミン(血中のたんぱく質の量で、肝臓の働きが悪くなると下がる)、血小板(肝硬変になると下がり、血が止まりにくくなる)、AFP・PlVKA−U(肝腫瘍ができると上がる)などを調べます。
腹部超音波検査・腹部CT検査は、横になった状態でお腹に機械を当てたり、断層写真を撮ったりする検査で、肝臓の形を見たり、肝腫瘍が出来ていないかを調べる検査です。
また、必要に応じて、入院していただき、血管造影検査、腹腔鏡検査をする場合もあります。
☆☆肝臓病の治療とは☆☆
ウィルス肝炎の治療の中で話題となるものにインターフェロン治療があります。インターフェロンとは人工的に作られた特殊なたんぱく質で、この注射を12ケ月間つづけると、C型肝炎の人の約5〜8割(ウィルスの型によって差があります)においてウィルスを除去できることが分かっていますが、発熱・白血球減少・貧血・血小板減少の他、うつ・不眠・頻尿・甲状腺機能異常・糖尿病・腎障害・眼疾患・発疹などの副作用を起こす人がいるという問題もあります。インターフェロン治療とは副作用との戦いでもあります。ウィルス肝炎の方の中でインターフェロンが使えない人や、インターフェロンを使ったが効果が無かった人、もしくはすでに肝硬変にまで進んでしまっている人に対しては、できるだけ肝細胞が壊されないようにする薬の内服(ウルソ、小柴胡湯、グリチルリチン等)、内服で不十分な場合は注射(強力ミノファーゲンC等)を続けることとなります。
肝腫瘍の治療は、手術・エタノール注入療法・肝動脈塞栓療法など、いろいろな方法がありますが、基本的には入院して行うことになります。初期段階の肝腫瘍ならば完全に取り去る、またはつぶすことが可能です。
☆☆食事療法は肝臓病に有効か☆☆
食事療法だけでは肝臓病は良くなりません。昔は高たんぱく食を食べるよう指導していましたが、栄養状態が良くなった現在では、好き嫌い無く規則正しく食事をすれば問題ありません。
☆☆運動はして良いのか☆☆
慢性肝炎の人は、基本的に運動制限はありません。ただし、急性肝炎・肝硬変の人で黄疸が出たり、GOT・GPTが200以上に上がり体がだるい時には、1日8時間以上の睡眠・休養をとった方が良いでしょう。
☆☆酒は飲んでいいのか☆☆
肝臓病にかかっている人が酒を毎日大量(日本酒で2合以上)に飲むと病気の進みは早くなります。
☆☆日常生活で肝臓病は移るのか☆☆
皿やお箸の使い回しや、お風呂に一緒に入ったりという事では、全く移りません。ただし、血液を介して移るため、カミソリや歯ブラシの使い回しはしないでください。性交渉でも移る可能性はあります。
☆☆後書きにかえて☆☆
ウイルス性の肝臓病を中心に大まかに述べましたが、これを読んで肝臓に不安のある方、または検診で一度でも肝機能異常が引っかかったことのある方は、ぜひ消化器科専門の当院に受診して下さいね。
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